ナフサは日本でも作られている?東京の一人暮らしと「国内需給」の話

原料

ナフサは全部輸入なのか

前回は、日本のナフサ輸入先について見ました。日本のナフサ輸入は中東への依存度が高く、アラブ首長国連邦、クウェート、カタールなどが大きな割合を占めています。
そこで次に気になるのが、「そもそもナフサって全部輸入なの?」ということです。
答えは、全部輸入ではありません。ナフサは日本国内でも作られています。
ナフサは、原油を精製する過程で出てくる石油製品のひとつです。原油からはガソリン、灯油、軽油、重油などが作られますが、その中にナフサもあります。そしてナフサは、プラスチックや化学製品の原料として使われます。
つまりナフサは、ガソリンのように私たちが直接買うものではないけれど、日用品や包装材、洗剤ボトル、衣類、家電部品などを通じて、生活のかなり近いところにあります。

国内生産と輸入で支えられている

今回のグラフでは、日本のナフサ供給を月次で見ています。
まず「国内生産」と「輸入」を並べると、どちらも毎月かなり大きな量があります。2025年の多くの月では、国内生産が100万kl前後、輸入が150万〜210万klほどで推移しています。
ここで大事なのは、日本のナフサ供給は「国内生産だけ」でも「輸入だけ」でもなく、両方で成り立っているということです。
国内でも作っている。でも、それだけでは足りない分を海外から輸入している。そんな構造です。
そして、この構造を見るうえで無視できないのが、2026年3月以降の中東情勢です。ホルムズ海峡の通航リスクやナフサ不足が、日本の製造業や包装材、プラスチック関連製品に影響する可能性が指摘されています。特に2026年3月以降、ナフサ市況が急騰したという説明もあり、今後の月次データを見るうえでは「輸入量が落ちていないか」「国内生産でどこまで補えているか」が重要になります。

5月以降のデータで見たいポイント

2つ目のグラフでは、国内生産、輸入に加えて「国内需要」、
つまり国内向けに販売された量も見ています。
2025年を見ると、国内需要はおおむね250万〜320万klほどで推移しています。国内生産よりもかなり大きく、輸入も合わせてようやく支えられていることがわかります。
一方で、2026年に入ってからは、国内生産・輸入・国内需要がいずれもやや低めに見える月があります。もちろん、月次データは季節要因や集計タイミングの影響もあるので、数か月だけで決めつけるのは危険です。
ただ、2026年3月以降の米国・イラン情勢やホルムズ海峡リスクを考えると、5月以降のデータはかなり注目したいところです。6月にはまたも、米国の攻撃を受けてイランがホルムズ海峡の閉鎖を発表したと報じています。ホルムズ海峡は原油や石油製品の輸送にとって重要なルートなので、こうした緊張はナフサの輸入にも影響しうる材料です。
見るべきポイントはシンプルです。

輸入が落ちているのか。
国内生産が増えて補っているのか。
国内需要が落ちているのか。

もし輸入が減り、国内生産でも補えず、需要も落ちているなら、それは単なる数字の変化ではなく、石油化学製品の供給や生産活動に影響が出ているサインかもしれません。

一人暮らしにはどう関係するのか

一人暮らしをしていると、ナフサの需給なんてかなり遠い話に見えるかもしれません。
でも、コンビニ弁当の容器、ペットボトル、洗剤のボトル、シャンプー容器、収納ケース、スマホ周辺グッズなど、身の回りにはナフサ由来の素材がたくさんあります。
ナフサが不足したり、価格が上がったりすると、すぐに家計簿の項目として「ナフサ代」が出てくるわけではありません。ただ、包装材、日用品、食品容器、物流資材などのコストにじわっと反映される可能性があります。
つまり、電気代やガス代のように見えやすい支出だけではなく、日用品や食品の値段にも、遠くの資源情勢が関係しているということです。
生活のコスパを上げるために大事なのは、世界情勢を完璧に読むことではありません。自分で変えられるものと、変えられないものを分けることです。
家賃や通信費、サブスクは自分で見直せる部分。
日用品や食品の値上がりは、自分では止められない部分。
だからこそ、使うものは安いときに少しだけストックする。補助金や一時的な値下がりをずっと続く前提にしない。値上がりしそうなものは、期待値を少し保守的に見ておく。
ナフサの需給を見ることは、難しい経済の勉強というより、
自分の生活費がどこから来ているのかを知ることです。
東京の一人暮らしは、どうしても固定費が重くなりがちです。だからこそ、目の前の値段だけでなく、その奥にある仕組みを少しずつ知っていく。
それが、生活のコスパを上げるための地味だけど大事な一歩なのだと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました