一人暮らしを始めると、家賃やスマホ代は気にしても、ガス代は「なんとなく毎月払うもの」で終わりがち。ただ、ガス料金にもちゃんとしたルールがあります。オール電化の物件は増えているとはいえ、東京の賃貸では今でもガス給湯やガスコンロの部屋がかなり多く、特に一人暮らしではまだまだ身近なインフラです。だからこそ、「どうやって金額が決まるのか」を知っておくと、請求書の見え方がちょっと変わります。
ガス料金の基本構造
東京ガスを例にすると、ガス料金の基本はかなりシンプルです。考え方は
「基本料金+従量料金」
基本料金は毎月かかる固定部分、従量料金は使ったガスの量に応じて増える部分です。
東京ガスの一般料金では、たとえば東京地区等の基準単位料金で、月の使用量が0~10㎥ならA表、10㎥超~80㎥ならB表が適用されます。2026年4月検針分では、A表は基本料金759円・単位料金164.79円/㎥、B表は基本料金1056円・単位料金149.94円/㎥です。
ここでポイントなのが、「たくさん使うほど単価が上がる」とは限らないこと。東京ガスの一般料金は、使用量の区分によって基本料金と単位料金の組み合わせが変わります。つまり、少ない使用量向け・標準的な使用量向け、という感じでテーブルが分かれているイメージです。東京ガスの公式サイトでも、1カ月30㎥使った場合はB表を使い、1,056円+149.94円×30㎥=5554円という計算例が紹介されています。
一人暮らしのガス代はいくら?
では、一人暮らしのガス代はいくらくらいなのか。総務省の家計調査をもとにした整理では、単身世帯のガス代平均は全国で月3056円ほど。ただし、季節差も大きく、2024年度の単身世帯平均では1~3月が約3900円、7~9月は2,200円でした。冬に高くなるのは、お湯を作るのにより多くの熱が必要になるから。つまりガス代は「料理」よりも「給湯」で差がつきやすいんです。毎日湯船に入るか、シャワー中心かでもかなり変わります。
実際に、ガス使用量ごとにどのくらい料金が変わるのかをシミュレーションしてみます。東京ガスの料金は「基本料金+従量料金」で計算されるため、使用量が増えると請求額も比例して増えていきます。一人暮らしの場合、月のガス使用量はだいたい 10〜30㎥程度になることが多いと言われています。そこで、0〜30㎥までのガス使用量を想定して、毎月の請求額がどのように変わるのかを簡単に計算してみました。次のグラフは、使用量ごとのガス料金の目安を可視化したものです。

※本シミュレーションは、東京ガスの一般料金(東京地区等)の料金表をもとに作成しています。
※基本料金および従量料金は 2026年4月時点の料金表を参考に計算しています。
※実際の請求額は原料費調整制度や政府補助などにより毎月変動する場合があります。
出典:東京ガス「ガス料金のしくみ」
使用量が変わらなくても料金が毎月少し変わる理由
さらにややこしく見えるのが、毎月の単位料金が少しずつ動くこと。これは東京ガスの
「原料費調整制度」によるものです。ガスの原料であるLNG (Liquefied Natural Gas 液化天然ガス)やLPG(Liquefied Petroleum Gas 液化石油ガス)などの原料価格が変わると、その分を毎月の単位料金に反映します。日本のガスは大半が輸入されるものであるため、為替や国際価格で値段がダイナミックに変化します。東京ガスでは、原料価格の変動額100円につき、1㎥あたり0.0891円(消費税込み)調整すると説明しています。つまり、同じ10㎥を使っても、先月と今月で請求額が少し(市況によっては大きく)違うことがあるわけです。2026年4月検針分は、東京地区等で前月より1㎥あたり13.87円の上方調整となり、標準家庭30㎥では416円上がると案内されています。
こうした料金制度になっているのは、ガス会社が「使った分の原価」だけでなく、
・ガス管の維持
・メーター管理
・安全点検
・24時間の保安体制
といった固定的なインフラ運用のコストも負担しているからです。基本料金(固定コスト)があるのはそのためで、そこに使用量に応じた従量料金を重ねることで、公平に費用を分ける考え方になっています。毎月の請求書を見るときは、「高い・安い」だけでなく、基本料金なのか、使用量なのか、原料費調整なのかを分けて見るのがコツです。仕組みがわかると、節約ポイントも見えやすくなります。まず見直しやすいのは、シャワー時間と給湯温度。東京の一人暮らしなら、ガス代はだいたい月3000から4000円台をひとつの目安にしておくと、家計管理もしやすいはずです。


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