東京で一人暮らしをしていると、毎月なんとなく払っているガス代。
「今月はちょっと高いな」と思うことはあっても、その5,000円が実際には何に使われているのかまで考える機会は、あまりないと思います。
でも、料金の仕組みを知っておくと、単に「高い・安い」で見るよりも、生活インフラにどれくらいのお金がかかっているのかが見えてきます。
今回は、大手都市ガス会社が公表している2024年度の数字をもとに、月5,000円のガス代がどこへ向かっているのかをざっくり推計してみました。
5000円のうち、約3000円は「ガスそのもの」

まず大きいのが、LNGなどの原料・仕入れです。
公表資料を見ると、ガス売上に対する原材料費の比率は約67%。これを税込5000円の料金に当てはめると、原料・仕入れに相当する金額は約3000円になります。
つまり、私たちが払っているガス代のかなりの部分は、海外などから調達するエネルギーそのもののコストです。
ここは為替やLNG価格の影響を受けやすいところ。海外のエネルギー価格が上がったり、円安になったりすると、日本の一人暮らしのガス代にもつながってくる理由が見えてきます。
約1,000円は、都市の地下にあるインフラへ
次に大きいのが、ガスを家まで届けるためのネットワークです。
東京地区の導管事業の規模をもとに比率換算すると、5,000円のうち約1,000円程度が、導管や供給インフラに相当する計算になります。
ガスは、買ってきたLNGをそのまま家庭に届けられるわけではありません。都市ガスとして使える状態にして、地下のガス管を通し、それぞれの住宅まで届ける必要があります。
東京で蛇口をひねるような感覚でガスが使えるのは、街の地下に巨大な設備がずっと維持されているからです。
では、その「インフラ代」は何に使われているのでしょうか。
インフラ費で一番大きいのは「設備を維持するお金」

導管事業にかかる供給販売費を分解すると、最も大きいのが減価償却費で、約36%を占めています。
言葉だけ見ると少し難しいですが、イメージとしては「過去に作ったガス管や設備の費用を、長い期間にわたって負担している」と考えるとわかりやすいです。
そのほかにも、労務費が約10%、修繕費が約9%、税や各種課金が約10%。消耗品や設備の賃借料などにもお金が使われています。
つまりインフラ代は、単に「新しいガス管を作る費用」ではありません。
壊れたところを直す人がいて、設備を点検する人がいて、古くなった設備を交換しながら、24時間ガスが使える状態を維持しています。
残りは販売・管理、そして税金
今回の推計では、原料とインフラを除いた販売・管理・利益などが約500円。さらに、税込5,000円のうち消費税は約455円です。
もちろんこれは、家庭の請求書に「原料3,000円、インフラ1,000円」と書かれているわけではありません。企業が公開している売上や費用を、家庭の5,000円に置き換えて見た推計です。
それでも、普段のガス代が「ガスを買った料金」だけではないことはかなり見えてきます。
原料を調達し、巨大な地下インフラを維持し、人が管理し、それを各家庭まで届ける。その全部を合わせたものが、私たちが毎月払っている料金です。
東京で一人暮らしをしていると、固定費はつい「安くできるか」だけで見てしまいがちです。
でも、まず仕組みを知る。そのうえで、どこが変動しやすいのか、どこはどうしても必要なコストなのかを見る。こういう視点を持っておくと、料金プランやエネルギーのニュースを見るときも、少し判断しやすくなります。

コメント