熊本地震で気になった「プロパンガス」 都市ガス・IHと何が違う?

光熱費

お部屋を探していると、たまに目にする「プロパンガス」の文字。都市ガスの物件と比べて、「なんとなく高そう」「ボンベが置いてあるけど危なくない?」と思ったことがある人もいるかもしれません。
2026年7月には熊本県熊本地方で最大震度7の「令和8年熊本地震」が発生しました。 地震やガスに関係する事故のニュースを見ると、普段は意識しない自宅のエネルギー設備が急に気になります。
では、プロパンガス(LPガス)は都市ガスやIHより危険なのでしょうか。

「プロパンだから危険」ではない

まず知っておきたいことは、LPガス・都市ガス・IHでは、注意するポイントがそれぞれ違うことです。
LPガスと都市ガスはどちらもガスなので、ガス漏れや爆発、火を使うことによる火災、一酸化炭素中毒などのリスクがあります。実際、経済産業省はLPガス事故を「漏えい」「漏えい爆発・火災」などに分類して集計しており、2024年には全国で200件以上のLPガス事故が報告されています。
一方のIHはガスを使わないため、ガス漏れやガス爆発はありません。ただし、「IH=何があっても安全」というわけでもありません。加熱による火災はあり得ますし、停電すると基本的に使えません。
つまり、「どれが一番安全?」というより、何に弱いのかが違うと考えるほうが実態に近いでしょう。

※事故発生確率を示すものではありません。各方式の物理特性、代表的な事故類型、災害時の特徴をもとにした定性評価です。

料金は「プロパン=高い」で終わらせない

一人暮らしなら、安全性と同じくらい気になるのが毎月の料金です。
ここで少しややこしいのが、LPガスと都市ガスでは同じ「1m³」でも含まれるエネルギー量が違うこと。都市ガス13Aは1m³あたり45MJで、LPガスはそれより熱量が大きいため、単純に「1m³あたり何円」で比べることはできません。
そこで、同じエネルギー量にそろえて料金を見ると比較しやすくなります。
たとえば100kWh相当は360MJ。単純な熱量換算なら、LPガスでは約3.5m³、都市ガスでは約8m³に相当します。

※投入エネルギー量の単純比較です。ガスコンロ・IHの熱効率は考慮していません。   

ただし、このグラフも「同じ料理をしたときの料金」そのものではありません。ガスコンロとIHでは鍋に伝わる熱の効率も違うからです。
大事なことは、物件情報の「プロパン/都市ガス」という一文字だけで判断せず、基本料金や従量料金まで見ること。LPガスの料金は地域・事業者による差もあるので、賃貸契約前に料金表を確認できるなら見ておきたいところです。東京都のLPガス料金についても、石油情報センターが基本料金や5m³、10m³など使用量別の平均価格を公表しています。

災害ではLPガスの見え方が少し変わる

LPガスというと、建物の外に大きなボンベがあるので「地震のとき危なそう」と感じます。
もちろん設備が壊れればガス漏れの危険はあります。一方でLPガスには、建物ごとにガスを供給する「分散型」という特徴があります。

ここで参考になるのが2016年熊本地震です。当時、熊本市周辺では約10万戸規模で都市ガスの供給停止が発生しました。 復旧には大勢の応援要員を集め、安全確認をしながら地域単位で作業を進める必要がありました。

ここがLPガスのおもしろいところです。

事故という面ではガス特有のリスクがある。でも、災害後の供給という面では分散型であることが強みになる。

一つの「安全/危険」という言葉だけでは評価できません。

部屋選びでは「仕組み」を知っておく

東京で一人暮らしをするなら、「プロパンだから絶対やめる」「IHなら絶対安心」と決める必要はないでしょう。
見るべきなのは、ガスの種類だけではありません。料金はいくらか、安全装置はあるか、給湯は何を使うのか、停電したらどうなるのか。
こうした仕組みを少し知っているだけで、賃貸サイトの設備欄の見え方も変わってきます。
家賃だけでなく、光熱費や災害時の特徴まで含めて考える。生活のコスパを上げるのは、安いものを探すことだけではなく、自分が毎日使っている仕組みを理解することなのかもしれません。

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