同じ10m³を使っても、2023年は約2,900円。料金の波を数字で見る
一人暮らしをしていると、「最近ガス代、高くなったな」と感じることがあります。でも、それが自分の使いすぎなのか、そもそも料金単価が上がっているのかは、請求書だけ見ても意外と分かりません。
そこで今回は、東京地区の一般料金で毎月10m³使ったと仮定し、各年1月の料金を2016年から2026年まで同じ条件で比べてみました。
使用量を固定しているので、見えてくるのは「生活スタイルの違い」ではなく、ガス料金そのものの変化です。
2016年は2,187円、2021年は1,988円

2016年1月、10m³使った場合の料金は2,187円。
その後ずっと上がったわけではありません。2017年には1,994円まで下がり、2019年は2,212円、2020年は2,177円。そして今回の比較で最も低い2021年は1,988円でした。
つまり「ガス代は毎年少しずつ値上がりしている」という単純な話ではありません。
都市ガスの料金には、LNGなどの輸入原料価格を料金へ反映する「原料費調整制度」があります。原料価格が下がれば単価も下がり、逆に海外のエネルギー価格や為替の影響で輸入価格が上がれば、数か月遅れて料金にも効いてきます。前回見た「海外情勢が東京のガス代につながる仕組み」が、10年という長いスパンでも表れているわけです。
2022年から一気に景色が変わる
グラフで目立つのが2022年から2023年です。
2021年に1,988円だった10m³の料金は、2022年には2,263円。そして2023年1月には2,900円まで上昇しました。同じ10m³を使っているのに、2021年との差は900円以上です。
東京ガスの2023年1月検針分では、0〜20m³に適用される料金表Aの調整単位料金が214.18円/m³まで上昇していました。
この時期は世界的なエネルギー価格の高騰が大きなテーマになった時期でもあります。
ここで大事なことは、光熱費の上昇を全部「節約不足」と考えないことです。
同じ量しか使っていなくても、料金単価そのものが大きく変われば、請求額は当然上がります。
2024年に下がったのは、原料価格だけが理由ではない
2023年の2,900円から、2024年は2,346円まで低下しています。
ただし、ここには注意が必要です。
2024年1月検針分には、国の「電気・ガス価格激変緩和対策事業」による15円/m³の値引きが反映されています。東京ガスの資料でも、政府支援を反映した単価として示されています。
10m³なら、単純計算で150円分です。
つまり「ガスそのものが一気に安くなった」と見るより、原料価格の変化に加えて、政策による料金支援も家計を押し下げていた、と考えるほうが実態に近いです。
2025年は2,523円、2026年は2,439円。2023年のピークからは下がっていますが、2021年の1,988円には戻っていません。
「昔より高い」の中身を知ると、家計の見方が変わる
この10年を見ると、ガス代にはかなり波があります。原料価格、為替、国際情勢、政府支援。それぞれが重なり合って、最終的に私たちの請求額になります。
一人暮らしで生活費を見直すとき、「シャワーを短くしよう」「自炊を減らそう」といった節約ももちろん大切です。でも、それだけでは説明できない値上がりもあります。
同じ10m³を使っても、2021年なら約2,000円、2023年なら約2,900円。
この違いを知っているだけでも、「自分が使いすぎたのか」「世の中の価格そのものが変わったのか」を切り分けられます。
自分が払っている値段が、なぜその金額なのかを知っておく。
それも、一人暮らしを続けるうえでは、かなり実用的な家計管理だと思います。


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